9月始業は高校スポーツに
どう影響するのか
「学校の入学や始業時期を9月に移行すべきだ」という議論がにわかに始まっている。
4月28日には、萩生田光一文部科学大臣も閣議後の記者会見で「一つの選択肢としてシミュレーションしている」と明言した。
今年だけの特例なのか、これを機に全面的に変更するのか? 賛否はそれぞれだが、スポーツの観点からこの案を考察してみたい。
つい先ごろ、高校総体(インターハイ)の中止が発表された。新型コロナウイルスの影響で、全国大会への出場権をかけて競う地区大会も開けないことが大きな理由に挙げられていた。このままでは今年の高校3年生の多くは、全国大会どころか、地区大会も経験できずに部活動を終えることになる。
高校野球は春のセンバツが中止になり、夏の開催についてはまだ検討前だが、緊急事態宣言が5月末まで延長された状況からすれば、例年通りの実施は極めて難しい見通しだ。高3の球児もまた、3年生になって一度も公式戦を経験せず、引退を迎える現実に直面している。
だが、もし始業が9月に変更されれば、当然、卒業も5カ月延びるわけだから、来年8月まで高校3年生でいられる。そうなれば、改めて設定された大会に出場できる可能性も見えてくる。
もちろん、新型コロナウイルスの終息次第ではあるが、都道府県内の大会や、近隣の高校との対抗試合など、段階的に試合のできる機会に恵まれるかもしれない。
考えてみれば、今年2月末ころからずっと通常の授業が行われていない。それなのに、来年3月に卒業というのは無理のある話だ。部活動が休止されているように、授業も学校生活も停止状態で、本来すべき高校生としての経験がほとんど奪われているのだから。