ショック安が落ち着いた直後の
「買い」は慎重に

 株価は3月の大幅なショック安からは20%程度戻しており、今年の高値からの下げ幅のほぼ半分程度は戻している。これで安心してもよいかといえば、筆者はあまり楽観的に考えるべきではない思っている。3月決算が出そろってくれば、業績が悪化しているのは明らかであろうし、自粛が続く中で今後の業績にもかなりの悪影響が出てくる可能性があるからだ。筆者はアナリストでも株式評論家でもないので株価や相場の予想はしないが、長年、証券の仕事をしてきた経験から、今の相場状況は楽観的過ぎるような気がしてならない。

 上昇相場の時に「理想買いで上がった株価が、実際には利益が出ていないということでいったん下がった後、現実の利益が伴って再び上がり始める」という2段階の上昇パターンがあるというのは前述した通りだが、下落相場の時も同じようなパターンはよく起きる。

 具体的には「恐怖心からショック安で下がった株価が、少し様子が見えてきていったん戻した後に現実の業績が悪いことによって再び下がり始める」というパターンである。ちょうど今はショック安から立ち直り、値が戻ってきている段階だが、ここでの買いは少し慎重に考えた方がよいだろう。

 再度大きな下落があるかどうかはわからないが、経済の実体を考えると、調整が長引くことは避けられないだろう。積み立て投資をやっている人は相場の動きに左右されることなく積み立てを淡々と続ければよいが、個別銘柄に投資をしている人ならこの調整時期に、コロナ禍の中でも成長が期待できる銘柄を自分で考えてみてもよいだろう。

 リーマンショック以後、アメリカで株価が100倍になった銘柄がある。ネットフリックスとドミノピザだ。リーマン後に解雇され、自宅で過ごす人が増えればどういう行動を取るかは誰しも想像がつくだろう。今回もこの両銘柄はほぼ高値圏で推移している。日本でも自粛要請の長期化で、宅配やネットショッピングの利用は確実に増えるだろうし、家の近くにある低価格スーパーなども信じられないぐらい人が集まっている。家で料理を作る時間も増えているし、コロナ終息後も一時的に消費は回復するだろうが、景気の落ち込みは避けられないので、低価格商品を求める動きが続くだろう。

 普段は仕事が忙しくて世の中の動きに気づかないことが多いが、こういう時期だからこそ気づくこともあるはずだ。今はようやくコロナショックによる恐怖心を乗り越えたばかりのところである。相場の戻り基調に安易に乗るのは禁物だと思うが、じっくりと新たな投資対象を探すのも、また楽しみの一つと考えればよいのではないだろうか。

(経済コラムニスト 大江英樹)