大手メーカー「期待の星」が
入社後に経験したつまずきとは
「うちの会社にこれまでなかった技術を確立したいと思っています。うちのような古くて堅い会社はなかなか変われない。そんな環境に流されずに会社を変えていくことができる方を求めています」
ある大手メーカーの新卒採用面接で研究所長が発した言葉である。最終面接を受けていたAさんは、目を輝かせてこう答えた。
「はい、ぜひ挑戦したいと思います」――。
Aさんは、念願がかなってその大手メーカーに入社し研究所に配属された。旧帝大出身で、学生時代は最先端の研究に携わってきた、期待の星だ。
そんなAさんは3年目となり業務に慣れてきた頃、思い切って新しいプロジェクトを上司に提案してみることにした。上司はこう言った。
「面白いね。だけど今のうちの会社では難しいんじゃないかな。上の人間は認めないと思うよ」
会社からの期待は「変革」だったはず。しかし突き付けられたのは、「今は無理」という答えだった。その後も随所でこのようなやり取りが繰り返されるようになり、Aさんは行き詰まってしまった。