【必読ポイント!】
◆なぜ、人は人を許せなくなってしまうのか
◇人間の脳は対立するようにできている

 自分と異なるものをなかなか理解できず、互いを「許せない」と感じてしまう正義中毒は、人間の宿命といえる。ただし、人間の脳の仕組みを知っていれば、こうした生きづらさを少しでも解消できるようになる。

 そもそも人間の脳は誰かと対立するようにできている。ささいなきっかけで相手をバカだと感じてしまうことは人間の特徴なのだ。

 また、長い時間をかけて徐々に他人を許せなくなることもある。その典型としてあげられるのが、「性格の不一致」による離婚だ。彼らは出会った当初は惹かれ合ったわけだが、その理由も、脳科学的には「互いが不一致だから」こそである。

 にもかかわらず、結婚後にその不一致を憎むようになってしまうのはなぜなのか。その理由として有力なのは、恋人だった頃より互いの距離感が近くなってしまったことである。いくら夫婦でも、適切な距離や愛着のレベルが存在する。そこに過不足があると、途端に不一致が粗として感じられるようになってしまうのだ。

◇バイアスは脳の手抜き

 人間は誰しも、集団内の仲間を外の人よりも良いと感じる「内集団バイアス」をもっている。そして、グループ外の集団には、バカなどというレッテルを簡単に貼り付けてしまう。たとえば、サッカーの試合で日本チームが失点をすると喜ぶ韓国人、ドイツチームの失点を喜ぶフランス人などだ。みな、悪意をもっているというよりは、ただ脳が手抜きをして、バイアスに乗っ取られている状態にすぎない。この状態における脳の処理は、自動的に生じる楽な処理、すなわち一元的な処理である。

 グループ外の人々を一元的に処理できるということは、脳がかける労力が少なく、コストパフォーマンスが高い行為である。本来なら、一人ひとりの背景や考え方を考慮に入れて、丁寧に判断するべきだ。しかし、この内集団バイアスが働くと、手間をかけずに一刀両断できるのである。

 このやり方は迅速な判断が必要なときに非常に便利であるが、脳がいわば「ズル」をしている状態なのだ。