中国国内で豚バブルか?
不動産大手が養豚業へ

 食肉の輸入価格を抑えるために、中国は食肉の輸入先を多様化させようとしている。豚肉供給力があるカナダに対しては先日、一時ストップさせていた対中輸出資格を復活させた。カナダの豚肉輸出業界は、20年に中国への豚肉輸出量が60%増加するだろうと見込んでいる。

 他にも、ロシア産牛肉供給協定も承認され、ロシアが中国向け牛肉輸出業者のリストを作成する段階に入った。ロシア産牛肉がまもなく中国国民の食卓を飾ることになる。

 ロシアはこれまで豚肉と牛肉の中国輸出の可能性を探ってきた。今回、ロシア産牛肉が中国市場に進出できるようになれば、次は豚肉の番になるとロシア側は意気込んでいる。

 ロシアの食肉市場に詳しい専門家によれば、ロシアの食肉市場では年間100万トン程度の豚肉が余っており、中国向けに輸出する能力には余裕がある。ロシアの豚肉が中国に輸出できれば、他の豚肉供給国がさらに激しい競争にさらされることになり、中国にとっては高騰する豚肉の輸入価格を抑えるのに好材料となる。

 昨年の年末頃、中国政府は日本からの牛肉輸入を再開する文書を発表した。外交の視点から打ち出された措置という一面もあるが、食肉輸入相場を安定化させるための行動でもあると思われる。

 今年に入ってから豚肉の価格は下がる傾向を見せているが、長期的に見れば、中国は今後も外国からの食肉輸入を拡大し続けるだろう。近隣の日本やロシアから、遠く離れたEUや米国に至るまで、中国市場の旺盛な需要は引き続き世界の肉類商品供給の市場構造を変えている。

 一方、豚肉価格の高騰は、中国国内の養豚事業にも大きな変化をもたらした。中国経済界では、以下のようなエピソードが語られている。

 昨年末に開催された企業サミットで、不動産会社万科グループを率いる創業者王石氏が、アグリビジネスの大手である新希望の劉永好董事長に「2019年の養豚はいくらもうかったのか」と声をかけた。

 劉氏は「この1年の利益は悪くない。前年度よりもかなり増えている。食事をおごってもまったく問題ないと思う。四川の豚肉料理に招待させていただこうか」と答えたという。

 それから5カ月後の5月7日夜、万科グループは求人広告を出した。大卒の学歴に2~3年の就職経験があれば応募可能だという条件は、有名企業である万科グループにとっては高いハードルとはいえない。

 しかし、ユニークな条件が設けられている。それが「養豚業への情熱」だ。応募者が採用されれば、今年3月に発足したばかりの「食品事業部」に所属することになる。その食品事業部は万科グループの新規事業である養豚業を担っている。しかもグループの最高経営幹部の一人が、同事業部の責任者を兼務するという。その力の入れようは半端ではない。