検察庁法改正案に反対した
芸能人たちへ向けられた拒否反応

小泉今日子
芸能人たちはなぜ、検察庁法改正案に抗議するツイッターデモに参加し、反対を表明したのか Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

 検察庁法改正が先送りにされた。個人的には、この法案は大騒ぎをするような話ではないと考えているのでどうでもいいのだが、これに付随したあるムーブメントに非常に関心を抱いている。

 この法案に関しては「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターデモが発生して、これまでにないほど多くの芸能人が参加し、改正案反対を表明したのだが、このアクションに対して一部の人たちが拒否反応を示したのだ。

 ハリウッドスターたちがトランプ大統領をこき下ろしていることからもわかるように、中国や北朝鮮のような言論統制国家ではない民主主義国家では、エンタメ業界の人間による政権の批判は、当然の権利として社会に認められている。

 しかし、今回の芸能人たちはボロカスだ。主張の内容というより、アクションをとったこと自体が叩かれているのだ。たとえばネットやSNSでは、こんな調子で憎々しげにディスられている。

「芸能人のくせに政治に口を出さず、自分のやるべきことをやれ」

「大した勉強もしないで薄っぺらな主張をして恥ずかしくないのか」

「自粛で仕事がないからって急に安倍政権に八つ当たりするのはみっともない」

「左翼におだてられて、ファンを裏切っていることに気づかないのか」

 いろいろな理由を並べ立ててはいるものの、根っこにあるのは「立場をわきまえろ」という考え方だということがわかるだろう。つまり、「ドラえもん」のジャイアンがよく言う「のび太のくせに生意気だぞ」と同じような感じで、日本人の中には「芸能人のくせに政治を批判するなんて生意気だぞ」という差別的思考が根付いているのだ。