安倍晋三首相が「5月中の承認を目指す」と発言していた新型コロナウイルス感染症の新薬候補であるアビガン。5月20日、「新薬としての科学的根拠」の不備を指摘する報道が相次いだ。そもそもアビガンは「世間での期待」に対し、厚労省や専門家の間では、厳しい声や慎重な見方する人が少なくない。その理由は何か。(ダイヤモンド編集部 山本猛嗣)
アビガンのコロナ感染症への承認には
慎重な専門家が多い
「やはり、お上は慎重な姿勢を崩しませんね」――。筆者からの電話取材に対し、ある大手製薬会社の幹部は、こんな感想をしみじみと漏らした(「お上」とは、厚生労働省のこと。製薬・医療機器業界の関係者は厚生労働省をしばしばこのように表現する)。
5月20日、共同通信をはじめ、各メディアが新型コロナウイルス感染症の新薬候補であるアビガンの承認について「科学的根拠が確認できていない」と、相次いで報道したことに対する感想だ。
周知の通り、安倍晋三首相は「5月中の承認を目指す」としていたが、ここに来て「暗雲」が垂れ込めた状況だ。