塚崎公義
銀行は融資先が赤字に転落して、再建不能だと判断しても、すぐに見捨てることはありません Photo:PIXTA

現在の景気局面においては、再建困難な赤字企業でも、銀行が支援すべき場合も多い。(塚崎公義)

無理な回収をすると回収額が非常に少ない場合も

 新型コロナ不況は深刻であり、自粛ムードが続けば倒産の危機に直面する赤字企業も多数出てくるだろう。銀行としては、融資を打ち切りたいと考えるかもしれないが、話はそう簡単ではない。

 赤字に陥った借り手に「会社を清算して、工場を売却して返済してくれ」と言うことは可能だろうが、それで実際に借り手が倒産してしまうと、経営者や従業員が路頭に迷うのみならず、銀行自身にとっても大きな不利益が生じかねないのである。

 借り手が会社を清算して、工場の設備機械をスクラップ業者に売却しても二束三文にしかならず、貸出金がほとんど回収できないかもしれないからである。

 銀行にとっては評判も重要である。「あの銀行は、借り手が苦境に陥ると逃げる冷たい銀行だ」と言われると、企業が取引銀行を選ぶ際に不利になってしまう。それよりも「あの銀行は借り手を見放さずに支援する温かい銀行だ」という評判を得た方が、自身のためになるのである。