銀行銀行は融資先が赤字になっても支援を続ける理由があります Photo:PIXTA

銀行は、新規取引先への融資の際は返済能力をしっかり調べるが、既存先には多少難があっても融資を継続する場合も多い。それには合理的な理由がある。(塚崎公義)

銀行の融資基準は新規取引先に対しては厳しい

 銀行は、貸し出しに際して借り手の返済能力をしっかり調べ、返済が確実だと思われる場合にのみ貸し出しを実行するのが原則である。だからこそ、貸出金利が低いのである。

 消費者金融などは、借り手の返済能力が高くなくても、高い金利で貸せば採算が取れるというビジネスだが、銀行はそれとは全く異なるビジネスだといっていいだろう。

 余談であるが、筆者としてはその中間的な金融ビジネスが育ってほしいと考えている。返済能力に多少難がある相手に、少し高めの金利で貸し出しを行う金融事業者が日本には乏しいと感じているからである。

 それはともかくとして、銀行は新規貸し出しについては上記のように厳しく選別するが、既に貸し出しを実行している相手に対しては、多少の難があっても貸し出しを継続するのが普通である。以下では、その理由について考えてみたい。