香港の憲法にあたる香港基本法が1997年に施行された時、幾つかの重要な事項が未完のまま残された。ひとつは普通選挙権(実施されていない)を認める条項。もうひとつは、反逆や国家分裂、スパイ行為など国家の安全にかかわる犯罪を法的に禁止すること。中国政府が現在進めているのはそれだ。  基本法の23条は香港が自ら国家安全法を制定しなければならないとしている。だが、市民の激しい反対でこれまでの試みは脱線した。例えば2003年には、50万人が抗議活動に繰り出した。中国政府の計画は同法を成立させるための次善策だ。