しかし、文大統領は南北統一と反日を目指して中国に傾斜し、米韓関係は不安定化した。この状況に韓国企業は自力で対応しなければならない。ファーウェイ制裁強化の発表直後、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は中国を訪問し、地方政府幹部などと会談したとみられる。サムスン電子は世襲経営をやめるとも発表した。

 ただ、米国がサムスン電子に対してファーウェイとの取引停止を求める可能性は排除できない。半導体分野での中国との競争も激化している。同社を取り巻く不確定要素は増大している。経営体力が相対的に劣る韓国企業の場合、自力で米中摩擦に対応することはかなり難しいだろう。

 わが国は、国全体で、不確実性高まる環境への対応を目指すべきだ。米国とは同盟関係を強化し、中国への抑止力を強化する。中国とは民間レベルでの取り組みを進め、双方にとっての好循環の実現を目指す。そのために政府は構造改革を進め、変化に適応し新しい取り組みを進める人材の登用などを通して、成長期待の高い分野に経営資源が再配分されやすい環境を整備すればよい。

 また、外交面では明確な論理を基にした国際協調の必要性、一方的な領有権主張への反対など、是々非々の立場を示す。それは、“大人の対応”によって国際社会からの信頼と賛同の獲得を目指すことといえる。

 コロナショックを境に世界経済の変化のスピードは加速化している。口で言うほど容易なことではないが、わが国は構造改革や国際協調を進め、より多くの国からの支持獲得を通して国力の安定を目指すべき時を迎えている。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)