世界中を席巻している新型コロナウイルスによる感染拡大に、いまだに「感染者ゼロ」を主張している北朝鮮だが、人々の生活のあちこちでコロナによる影響が出ている。北朝鮮の人々はこの騒ぎの中、どうやって生き抜いているのか。
脱北者らからの証言で垣間見えるのは、90年代後半の飢餓や経済危機を生き延びてきた庶民のたくましい姿だ。
住民は隔離と移動制限
党幹部にはロシア製検査キット
北朝鮮が中国との国境を閉鎖し、国家非常防疫体系を宣言したのが1月末だった。北朝鮮と連絡を取り合う複数の脱北者らの証言によれば、市民生活へさまざまな制限が加えられるようになった。
一例が5月初め、西部の平安南道价川市で起きた事件だった。同市の鉄道検察所(検察庁)の職員が死亡し、葬儀が行われた。所員ら約20人が参列した後、精進落としのような会合が行われた。
新型コロナ対策の一環として、北朝鮮でも社会的な距離を保つよう指示が出ている。この飲酒はすぐ問題になり、鉄道検察所長と同所所属の党委員長の2人が解任されたという。