終末期を自分らしく過ごせる場所としてホスピスに期待がかかる理由横浜市の西谷駅近くに新築した「在宅ホスピス保土ヶ谷」の外観  Photo by Sumikazu Asakawa(以下、すべて同)

がんと難病患者の終末期に特化
「ホスピス」が拡大

 終末期の迎え方は依然、大きな課題だ。安全第一の規則に縛られ、窮屈な入院生活のまま亡くなる。そんな人が4人のうち3人もいるのが日本。日常生活を遮断してしまうのが病院。一方で大多数の国民は自宅でのみとりを望んでいる。

 だが、医療対応が迫られ家族の負担が大きいため、やむなく入院する羽目になる。一人暮らしや老夫婦なので事実上、みとりができないことも。だからといって、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど介護保険施設では、やはり医療対応が難しく入所を断られがちだ。終末期の居場所探しは難しい。

 こうした中で、「医療」「看護」「介護」を提供できる「集合住宅」が広がろうとしている。がんと難病の終末期に特化した「ホスピス」である。運営は株式会社。民間ならではの柔軟な発想で既存制度を巧みに活用し、入居者の「自然で自由な生活」を目指している。

 昨年4月に開設した横浜市保土ヶ谷区の「在宅ホスピス保土ヶ谷」。相鉄本線西谷駅近くの住宅地に立つ。新築2階建てで27の個室が並ぶ。