国家が転換点を迎えるのはいつか――ものごとが完全に制御不能に陥っていると市民が結論付け、それまでと違う何かが必要とされる時だろうか。そうした疑問が湧く背景には、言うまでもなく、警官が黒人男性に暴行を振るって殺害した事件を受け、全米に抗議と略奪行為が広がっていることがある。100年に1度という疾病のパンデミック(世界的大流行)と大恐慌のごとき経済の落ち込みに加え、衝撃的な光景が追い打ちとなっている。危機のさなかにあっては、こうした出来事が次第に収束して元の状態に戻るだけで終わるのはどんな時で、政治的・社会的構造に恒久的な変化をもたらすのはどんな時なのか、見極めるのは難しい。だが最近の歴史を振り返れば分かるように、多方面から相次ぎ発生する衝撃が重なる今のような時こそ、米国人は新たな針路を選ぶこともあり得る。
ウイルス・失業・暴動:米国を襲う三重苦の衝撃
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