「和敬塾」という珍しい男子学生寮がある。東京・目白台の旧細川邸7000坪の土地に、前川製作所の創業者・前川喜作氏が1955年に設立。現在も大学、国籍、宗教にかかわらず400人以上の学生が暮らす。総務副大臣を務めた鈴木淳司氏も和敬塾出身。「初めて人生について考えた」という和敬塾での日々を語ってもらった。(清談社 村田孔明)
いきなりの洗礼で
変なプライドが取り払われた
和敬塾に入った者は皆すぐに洗礼を浴びる。
前総務副大臣の鈴木淳司氏は、新入塾生歓迎会で上級生から「尊敬する地元の先輩の名前は?」「彼女はいるか?」など矢継ぎ早の質問に大声で答えさせられたという。
「部屋回りといって、新入塾生は先ず、寮の先輩一人ひとりの部屋を尋ねて、自己紹介して回らなければなりません。先輩から、トクトクトクとコップに酒を注がれて『一気に飲め』と言われることも。戸惑いましたけれど、それが上級生にとっては仲間として新入生を受け入れ、新入塾生には新しい環境に飛び込むための通過儀礼だったんですね」
1978(昭和53)年、鈴木氏は早稲田大学法学部に進学し、和敬塾西寮に入る。