仮定の例として、日銀OBが役員に天下っているものの経営状態が悪い銀行があるとしよう。この銀行が役員をそのまま留任させる人事案を株主総会に提出した場合、日銀はこの会社提案に賛成するのだろうか。

「OBがいるからといって、議決権行使が影響されることはない」と言い張りたいのが普通の感覚だろう。そして、そのような推測を生むような立場にはいたくないと思うのが清廉な日銀マンの心情だろう。しかし、大株主になることによって、さまざまな影響力を持つとメリットがあるのではないか、と考える腹黒日銀マンが将来出てこない保証はない。

日銀のETF買いに
「株価形成のゆがみ」批判あり

 日銀のETF買いには、株価形成をゆがめているとの批判もある。

 彼らがETFを買うことがどの程度株価形成に影響しているのかは実のところよく分かっていない(定説もないし、筆者も分かっていない)。ただ、株式市場の参加者の間では、「短期的には、株価が下がると日銀が買って下支えしてくれる」という期待を持っている者が多い。一般には、程度はわからないが、何らかの影響があるだろうと考えられている。

 コロナショックで株価が急落した3月、4月は1兆5000億円、1兆2000億円、と大きな金額で買い入れを行っている。「日銀の買い入れがなければ、株価はもっと下がっていただろう」と思うのが普通だ。ただ、それがどの程度まで下がったのか、そして、その後の株価の戻りとどう関係するのかを推定することは難しい。

 一方、米国をはじめとする外国の株価も大きく下がって、それなりに戻っている。従って、日本の株価がこれに連動しただけで、日銀買いは意外に大きく影響していないと考えることもできる。