全米各地での抗議行動では、ソーシャルメディア(SNS)が主戦場の役割を果たすようになっている。ハイテク・プラットフォームは、緊張を高めており、こうしたツールがなければ多くの人々の注目を集めることがなかったかもしれない暴動と警察の対応に関し、実況中継のような記録も提供している。
黒人男性ジョージ・フロイド氏が死亡した暴力的な逮捕の様子を映した映像は、現場を通りかかったダネーラ・フレージャー氏が5月25日にフェイスブックに投稿したものだった。この投稿はフェイスブック上で5万2000人にシェアされ、ツイッター、インスタグラムなど他のSNSでも流れたことで、事件を知る人々が増えた。その後これらのメディアは、フロイドさんの死に動揺した人々や、しばしば暴力的となった全米各地の抗議活動参加者と警察の行動に当惑した人々の、反発と怒りを拡散し始めた。
スタンフォード大学のインターネット・オブザーバトリーの所長を務めるアレックス・ステーモス氏は、フロイド氏逮捕をめぐる映像が瞬く間に共有されたことにより、SNSは抗議行動を活発化させる上で重要な役割を果たしたと指摘。「SNSは、こうした出来事を全国的問題に変える。20年前であれば、今回の事件は地元の新聞で伝えられるだけだったかもしれない」
スタンフォード大の法学教授でカリフォルニア大学のサイバー・ポリシー・センターの共同所長を務めるナサニエル・パーシリー氏によれば、今回の暴動は主義主張の対立で、オンラインでの戦いをも引き起こしたという。同氏は「現実の出来事の解釈に関して、SNS上での争いが起きている」と語った。