中国経済は、新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)からいち早く抜け出した。中国政府は最近、これをかさに着て強硬な外交姿勢を示しているのかもしれない。だが、中国の労働市場を詳しく見ると、この回復の動きには幾つかの疑問が浮上する。中国都市部の失業統計では、4月に失業中だったのは回答者のわずか6%と、米国の約15%を大幅に下回っている。しかし、ほとんどのエコノミストはこの2つの数字を直接比較できるとは考えていない。1つの理由として、中国の数字には景気後退時に地方に戻る出稼ぎ労働者が含まれていないからだ。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の推計では、中国の4月の失業者と不完全就業者(不本意ながらパートタイム労働に従事せざるを得ない人や積極的に求職していない人を含む)を合計した広義の失業率は16%前後となる計算だ。中国経済調査会社のギャブカル・ドラゴノミクスは、3~4月の失業者は6000万~1億人と、非農業部門就業者の11~20%に上るとみている。