マット・ニューイさん(23)は4月下旬、亡くなった祖母の自宅を片付けていて感情がこみ上げてきた。祖母の香水に手を伸ばしたが、何も匂いはしなかった。  「祖母が大好きで、最後にもう一度、どんな匂いだったかを思い出そうとした」とニューイさんは話す。「その記憶を失った気がして、つらかった」。彼は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかり、3月に回復した。  臨床現場ではこの感染症の理解に努めているが、通常とは異なる傾向が明らかになり始めた。嗅覚や味覚が失われる一般的な症状が、回復後ずっと治らないケースがあるのだ。