コロナ明けのクレーム対応は
危機を意識する
警察を辞めてから24年、クレーム対応の現場をサポートしながら、講演や執筆活動などを通してクレームリスクマネジメントの必要性を発信しています。
難しいクレームが発生した際、「毅然と対応すること」の重要性をお伝えしていますが、これがなかなか根気のいる作業でもあります。民間企業に入社し、クレーム対応を任され始めた当初、刑事時代にさまざまな悪質事件に関わってきた身でも、とても難しく冷や汗をかく場面が多くありました。その原因は、責任の所在がどこまでなのかが分からなかったため。一従業員に対応は任されていましたが、判断基準が明確ではなかったのです。
これらの経験から、厳しいクレーマーと相対するには、従業員を守るための護身(心)術が必要不可欠であると感じました。悩んだり迷ったり葛藤しながら、なんとか自分を失わず積み重ねてきたノウハウは、決して超人的な技術ではありません。信じられないような“自己中”なモンスターたちを乗り越えてきたなかで学んだことは、千差万別のクレーマーにも対応のポイントがあり、そのツボを押さえておけば、誰でも必ず解決できるということです。
これまでの連載でも「備えあれば憂いなし」、乗り越えられないトラブル、終わりがないクレームはないことをお伝えしてきました。大切なのは顧客満足から危機管理へのギアチェンジなのです。
危機管理については、いざ考えようとしても、テーマが大きすぎて「何からすればよいのか分からない」と質問されることもあります。私がお勧めしている方法は、まずは、「危機を意識すること」。
そこで、私が企業や医療・行政機関などで危機管理を周知徹底するために、お勧めしている“危機管理のさしすせそ”について紹介します。