コロナショックが発生した時点で金融市場には大きな不安が2つあった。1つには、米国の社債市場と、信用リスクの高い社債を証券化したローン担保証券(CLO)が破綻するのではないかという心配。もう1つには、ドル資金の調達が難しくなることで国際金融的なデフォルトが起こる懸念だった。

 共に金融システムに大規模なトラブルをもたらす可能性がある。コロナによる実体経済の傷みに加えて、リーマンショック的な金融危機のダメージが及ぶ心配があったのだ。

 もちろん、今後大型の倒産等が個別に起こる可能性があるし、危機に陥る金融機関が出てくる可能性はある。しかし、FRBが早い時点で「社債」と「国際金融」に対して大胆な手を打ったことは適切だった。

 株式市場には「FED(FRBの略称)には逆らうな」という格言があるが、量的金融緩和に加えて、信用リスクにまで踏み込んだ金融緩和の状況にあって、株価が上がるは市場常識的には「自然」だ。

株式投資をする人は
「不安は消えない」と覚悟すべき

 世界銀行が8日に発表した2020年の世界経済の成長率見通しはマイナス5.2%で、1月時点の見通しを7.7%引き下げたことになる。世界通貨基金(IMF)の4月時点の見通しはマイナス3.0%であり、株価に対する見通しだけでなく、経済成長率に対する専門家の見通しも、経験則が通じない事態にあっては不安定なものであることが分かるが、今年が戦後最悪の経済状況となることは間違いなさそうだ。

「実体経済の悪さと株価上昇のギャップは危険だ」「スピード調整があるはずだ」との声にも市場関係者の経験則的には一定の説得力がある。ただ、これまで消費を止めていたことで蓄えられた購買力が、経済活動の再開に伴って突然発揮されることによる「意外な回復」に注目が集まる可能性がある。そのため、「空売り」を行うのは危険だろうし、「二番底」を待つのはうまくいかない可能性が大きい。

 一方、感染拡大の速さは「第1波」で確認済みのところだが、経済活動が活発になり、「第2波」が経済を再び急停止させる可能性があることは否定できない。