小池百合子都知事学歴詐称疑惑が燃え上がる中でも、都知事再選が固いと思われる小池都知事の「したたかさ」とは Photo:JIJI

都知事選を控えて燃え上がる疑惑
小池氏再選にどう影響するのか

 都知事選を来月に控え、小池百合子東京都知事の「学歴詐称疑惑」が盛り上がりをみせてきた。

「日本人女性として初めてカイロ大学を首席で卒業」という、華やかなプロフィールが虚偽ではないかというこの疑惑は、これまでも選挙のたびに指摘されていたが、いつも決定的な証拠がないまま鎮火していた。しかし、今回は先日発売された『女帝 小池百合子』(石井妙子著 文藝春秋)の中で、若かりし頃の小池氏とルームメイトだった人物がかなり具体的な証言をしたことから、いつになく炎上しているのだ。

 これを受けて、カイロ大学の学長が「小池氏は1976年に卒業している」と声明を出したものの、「エジプトではコネや賄賂で経歴詐称くらい不可能ではない」という指摘が相次ぎ、真相究明を求める声が収まらない。

 ついには都内の男性から、東京地検特捜部に有印私文書偽造の告発状が郵送される事態まで発展。18日公示の選挙戦では、「学歴」が争点の1つになる可能性も否めないのだ。

「しっかりと政治をしてくれれば学歴なんてどうでもいい」という都民もおられるだろうが、人間というのは1つ嘘をつくと、その嘘を隠すためにどうしても新しい嘘をつかなくてはならなくなる。つまり、40年以上も学歴詐称で周囲を騙してきた人は、「嘘」をつくことの罪悪感が麻痺してしまっている可能性があるのだ。

 そのような虚言癖のある人に、透明性や公平性が求められる公職がふさわしくないことは、説明の必要もないだろう。そうした意味では、この「疑惑」は有権者に対してしっかり説明されるべきものなのだ。

 ただ、その一方で個人的には、今の「疑惑」というレベルでは、小池氏の再選を阻むほどのものにはならないのではないかと見ている。むしろ逆に、小池氏の再選にとって「ナイスアシスト」になってしまう可能性の方が高いのではないか、とさえ思う。

「小池百合子」という政治家は、自分に向けられた「批判」をセルフブランディングに活用することに非常に長けているからだ。