こういう対立の図式をつくってしまえば、もはや小池氏の勝ちであることは言うまでもない。小池氏をディスるのは、「女性蔑視のおじさん政治家」なので、厳しい批判をすればするほどイメージがダウンしていく。その一方で、小池氏は批判されればされるほど、「差別主義者と戦う女性闘士」としてイメージアップしていくのだ。

 実際、自民党側は「小池氏を応援した者に除名など厳しい処分を下す」と党内に通達を出し、テレビや新聞で実務経験の少ないパフォーマンス政治家だというネガキャンを展開したが、やればやるほど小池氏の人気は上がった。結局、自民が推薦する増田寛也氏を大きく引き離して291万票で圧勝したのだ。

ライバルは貶められて
いつの間にか小池氏のペースに

 このようなファイティングスタイルを得意中の得意とする小池氏にとって、「学歴詐称疑惑」もそれほど恐れるものではないということは言うまでもない。

 カイロ大学としては、学長が公式に「卒業」を認めている中で、「ごめん、やっぱりあれは嘘でした」などと前言撤回する可能性は少ない。そうなると、どんなに「怪しい」「大学側の説明は信用できない」と批判を展開したところで、小池氏としては論点のすり替えが容易にできてしまうからだ。たとえば、筆者が小池氏ならこんなことを言うだろう。

「カイロ大学側が卒業していると声明まで出しているのに、それを信用できないという人がいるのは非常に残念です。これはカイロ大学のすべての学生、そして卒業生への冒涜であるとともに、エジプト社会への強い偏見に基づくものであって、日本人として申し訳ない思いでいっぱいです」

 こういう対立の図式をつくってしまえば、「学歴詐称疑惑」を執拗に追及する者は、「とにかく強引な言いがかりをつけてでも小池氏の再選を阻みたい人」か、「エジプトに強い偏見を抱いている人」ということになる。どちらも好感度が高いとは言い難い。 

 つまり、前回の都知事選同様に、小池氏を辛辣に批判する人たちが大騒ぎをすればするほど小池氏のイメージが自然に上がっていく、という「ナイスアシスト」の構造ができ上がってしまうのだ。