日本を代表する時価総額上位の銘柄について、年末までの投資判断を示した。最新決算を分析したアナリストのコメントに加えて、チャートや業績推移、株価指標などのデータも掲載したので、売買の参考にしてほしい。

「週刊ダイヤモンド」2020年6月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「強気」か「弱気」か
時価総額上位の主要銘柄ズバリ診断

 個人投資家にとって最大の関心事は、保有株や新規投資を考えている企業の今後である。そこで、時価総額が大きい日本を代表する54銘柄を選出。最新の決算を分析したアナリストの意見を参考に、2020年末までの投資判断を掲載した。

 注目してほしいのは、今期業績についてのアナリストの分析。例年であれば、多くの企業は本決算時に前期実績に加えて今期の業績予想を開示するが、今年は開示しない企業が多いだけに、ぜひ参考にしてほしい。緊急事態宣言による消費低迷や工場の閉鎖など、足元の落ち込みが報道されがちだが、株価を動かすのは、過去ではなく将来なのだ。

 予想を開示している企業の場合、今期予想が減益見込みでも、計画が慎重過ぎると期中に業績を上方修正するため、株価が上昇しやすい。逆に強気の予想は、下振れすると失望売りにつながる。銘柄分析では新型コロナの終息時期など、予想の前提条件にも触れた。仮に企業の想定よりもコロナ終息の時期が早まれば、業績が上振れする企業が多くなるはずだ。

 各銘柄には、19年以降の株価チャートと今期予想を含めた3期分の業績、予想PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標を掲載。PERは株価を予想1株利益で割って算出、PBRは株価を1株純資産で割って算出する。PERは利益面、PBRは資産面での割安度を示し、いずれも数値が低いほど割安と判断できる。

 ROE(自己資本利益率)は、効率的に稼げているかを示す指標で、予想当期利益を自己資本で割って算出。数値が高いほど経営力が高いといえる。業種により異なるが、2桁以上が合格の目安だ。

 また、銘柄名の右上には、最低単元を買った場合に必要となる金額を掲載した。少額で買える企業であれば複数銘柄への分散投資もしやすいので、投資初心者や資金が少ない人は確認しよう。

 株主還元の強化は、株価の下支え要因になるので、銘柄分析の「増配」や「自社株買い」にも注目してほしい。

【注目銘柄欄の見方】
銘柄は5月18日までに決算を発表した銘柄のうち、時価総額の上位から選出した。個人投資家の注目度や、業種等の偏りを考慮して調整している。株価や業績等のデータは5月20日時点。
銘柄名の左の「強」「中」「弱」は銘柄分析者による投資判断で、期間は2020年末まで。分析担当者は株式アナリストの和島英樹氏とマーケットコメンテーターの岡村友哉氏。銘柄名右上の金額は購入に必要となる最低額。増益率は営業利益で算出。業績欄の(会予)は会社予想。

業績欄の下の株価指標は以下の数値を赤地にして強調した。
●増収率・増益率 今期予想がプラス
●PER(会社予想) 10倍以下
●PBR(実績) 0.8倍以下
●配当利回り(会社予想) 3%以上
●ROE(会社予想) 10%以上
※チャート画像提供=KEN&BRAINS データ出所:QUICK​
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