小売り絶対絶命 百貨店・コンビニ・外食#4Photo:Ryan McVay/gettyimages,BlackJack3D/gettyimages

百貨店など商業施設の営業時間短縮や休業のあおりを食らったアパレル業界。服を買う場所もなければ着ていく場所もないこの状況で、直近のアパレルメーカーの売り上げは前年を大きく割っている。ただ、資金繰りと「余命」には大きく差がついていた。特集『小売り絶体絶命 百貨店・コンビニ・アパレル・外食』(全7回)の#4では、アパレル24社「余命」ランキングを通じ、コロナショックへのアパレル企業の耐久力を探る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

上場企業初のコロナ破綻はレナウン
コロナ破綻におびえるアパレルの奔走

「現在、弊社は2020年12月期第1四半期決算の発表に向けた準備をしております。新型コロナウイルスの影響により、開示時期も未定となっているため取材の対応ができかねる状態です。不透明な要素も多く、財務に関する取材もお断り致しております」――。

 5月7日、レナウンの広報からダイヤモンド編集部に取材を断るこんな連絡があった。アパレル企業の資金繰りを編集部が試算したところ、レナウンがワースト1位となったため、今後の打開策などを聞くために取材を申し込んでいた。

 その8日後の15日、レナウンは民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請。新型コロナの影響を受けた初の上場企業の経営破綻となった。

 創業118年、世界一の売上高を誇ったこともあるレナウンだが、長年の経営不振から10年に中国の山東如意科技集団有限公司の傘下に入った。19年12月期決算で営業赤字が80億円と危機的な状況に陥っており、とどめを刺したのが新型コロナだった。

 レナウンの販売チャネルの6割が百貨店だ。外出自粛や百貨店の臨時休業が加速した3月の既存店売上高は57.5%(前年同月比)。そして4月は19.0%(同)と壊滅的な状況となった。加えて親会社との関係の悪化が明らかになり、なし崩しに民事再生の道へと進んだ。

 ただ、新型コロナによる苦境は、どのアパレルにも共通している。