確実に黒字化する骨太経営

 営業収益における入場料収入が約28%を占めている点で、レッズの事業構造は他のJクラブと一線を画していることはすでに記した。歴史を振り返れば2000年代の後半までは、収入のもう一つの柱であるスポンサー収入を入場料収入が上回っていた点で、レッズは稀有なクラブでもあった。

 率先して経営体質を改善してきた点でも、レッズはJクラブの中で先陣を切ってきた。05年には当時の親会社だった三菱自動車工業との損失補填契約を解消。プロ野球にも共通してきた親会社への依存から脱却し、親会社及びグループ企業以外の新規スポンサー獲得に努めてきた。

 スポンサー収入の推移に、努力の跡が反映されている。05年度の16億6000万円が、昨年度はクラブ史上で最高額となる38億4100万円を計上。同じく順調に伸ばしてきたグッズなどの物販収入と、ハイレベルにある入場料収入などの合計で、確実に黒字を計上する骨太経営を具現化してきた。

 2月下旬からすべての公式戦が中断されてきた中で、90社以上を数えるレッズのパートナー企業にとっても、埼玉スタジアム内に掲出しているバナーなどの露出が見込めないというデメリットが生じている。それでもスポンサー収入は「最小限の減少に食い止められている」と立花社長は言う。

「営業担当者がいろいろな話をさせていただきながら、現状ではリーグ戦が全試合開催されることもあって、パートナー企業様からの収入が減らないような努力を積み重ねています。ただ、新しいお客さまと契約する計画に関しては、今のところ難しい状況にあります」

 支出を切り詰めていく上で、自身を含めた役員の報酬を7月から一律15%カット。過去に経験のない活動休止を強いられてきた日々で、レッズというクラブのユニークな立ち位置にあらためて思いを馳せることができたと同社長は感慨深げに語る。

「この休止期間中に、浦和という町に寄り添う必要性をより強く感じてきました。ファン・サポーターに支えられている部分がいかに大きいか。入場料収入もそうですし、数多くのパートナー企業様に協賛いただいているのも、ファン・サポーターにもたらされる埼玉スタジアムの熱気といいますか、浦和レッズがもつ、他のクラブと差別化されているような価値を評価していただいているからですよね」

 ファン・サポーター、パートナー企業、そしてピッチ上で躍動する選手が三位一体となって、レッズにしか創出できない環境を生み出していく。すべてを財産として大切にしていきたいという思いから、J1で3番目に多い32億2800万円を計上した、年俸などの合計となるチーム人件費に対しては、海外のクラブが実施しているような減額などをクラブ側から申し入れる予定はないとも断言した。