視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。
生活、人生のステージチェンジ、
想定外の「大変化」にどう対処すべきか
「新しい生活様式」が政府から発表されている。新型コロナウイルス感染拡大のリスクがあることを前提に社会を動かしていかなければならない「ウイズコロナ」の時代に、個々人がどのように衛生管理や日常生活、そして仕事をしていくか、というガイドラインを示したものだ。
この「新しい生活様式」では、買い物においては「通販も利用」「サンプルなど展示品への接触は控えめに」、食事の場面では「料理に集中、おしゃべりは控えめに」など、事細かに、気をつけるべき行動が示されている。仕事についても、「テレワークやローテーション勤務」「名刺交換はオンライン」など、ここ3カ月ほど、各企業が取り組んでいる働き方が例示されている。
このような生活様式に移行することで、結構な負担や不便さを強いられる、あるいは「これまで好きだったことができなくなる」という人も少なくないはずだ。また、人が多く、これらのガイドラインを守るのが難しい都市部を避け、地方への移住を考える人も、少なからずいるのではないか。テレワークで業務に支障がないのであれば、都市部の会社に所属したまま、地方在住で働くことも十分に可能だからだ。
このような「大きな変化」は、社会だけでなく、一人一人の人生の中にもある。よく、人生は3つのステージになぞらえられる。「教育」のステージ、「仕事」のステージ、そして「引退後」のステージだ。それぞれのステージの境目、すなわち「就職」と「定年」が、人生の2つの「大変化」と言っていいだろう。
これらの「大変化」で変わるのは、生活環境や人間関係であったり、日々のスケジュールであったりする。そして、「何を目的とするか」といった価値観の変化も強いられる。その点では、今回の「新しい生活様式」への変化も同じだろう。