北京に住む50代の女性はこう語る。

「少なくとも2~4月ごろ、私の地元のスーパーでは、ホットケーキミックスが品切れになったなどという話は聞かなかったですね。ホットケーキミックスは売っていることは売っていましたけど……」

 中国のネットで検索してみると、売れ筋のホットケーキミックスは地元のメーカーに加え、日系の森永製菓の商品もあるようだが、この女性は一度も買ったことがないと話していた。

日本女性の
女子力の高さはすごい

 上海や杭州に住む30代の女性にも話を聞いてみたが、同様の反応だった。上海の女性はその理由を自分なりにこう分析する。

「地域差や個人差、年齢差もあるので、一概にはいえませんが、中国では家庭でお母さん(またはお父さん)がおやつを手作りするという文化や習慣があまりないのではないでしょうか。これまで私はずっとフルタイムで働いてきました。周囲の女性も皆、フルタイムで働いています。うちはお手伝いさんを頼んでいるので、ふだんの夕食の支度もほぼお手伝いさんがしています。まして、私が自分でおやつを作るということはありません。おやつといえば、買ってくるものだとばかり思っていました。

 その点、日本人の女性は本当に偉いと感心します。専業主婦だけでなく、働いている女性も、家の掃除や洗濯、食事づくりをほぼひとりでこなす上、クッキーやパン、ホットケーキ、それにお弁当、さらにマスクまで手作り……。日本人は意識していないでしょうけど、日本女性の女子力の高さはすごい。信じられないほどすばらしいことだと思います。日本の文化を感じますね」

 確かに中国では、お母さんが家で子どもの帰りを待ち、家事をすべてひとりだけでこなすということは少ない。

 昨今、富裕層の間では専業主婦もじわじわと増えているので、10年前と状況はかなり変わってきてはいるし、そういう女性の間では、日本人が作る“キャラ弁”が話題になっていたりする。それでも家庭で子どものおやつまで手作りするという人は、まだ稀なほうだろう。

日本でホットケーキといえば
「懐かしの味」

 日本でホットケーキといえば、昭和の時代から長らく続く「おやつの定番」だ。一定以上の年齢層の日本人にとって、家庭のホットプレートで焼くものの代表的な存在として、常にホットケーキがあったし、今も変わらない。