アップルはこれまで、半導体など部品メーカーの巨大なエコシステムに生産を委ねることで、モバイル端末の帝国を築き上げてきた。だが、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は今、その多くを自社へと回帰させようとしている。
アップルは22日、パソコン(PC)「Mac(マック)」について、年内から内製化チップを搭載したものに切り替えていくと発表した。これにより、15年にわたる半導体大手インテルとの提携は打ち切る。自社設計のチップの方が効率性が高く、画像の性能も上がると説明した。
今回の動きは、外部サプライヤーが手掛ける部品の大半を自社開発品に切り替えていくという同社の包括戦略に沿ったものだ。独立系のハイテクアナリスト、ウェイン・ラム氏の分析によると、アップルは現在、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の中核部品の約42%を自社で手掛けている。この割合は、約5年前の8%から大きく上昇しており、今後も将来的にモデムチップやセンサーが内製化されるのに伴い、さらに高まる見通しだ。
自社で独自部品を手掛ければ、コストを削減できるほか、将来の新製品に対するアップルのコントロールも強まる。アナリストによると、内製チップ搭載の新型Macは1台当たりコストを推定75~150ドル(約8000~1万6000円)押し下げる見通しで、アップルは顧客や株主に浮いた分を還元できるだろうとしている。