貿易や人権などさまざまな問題を巡り、米中の対立が先鋭化する中で、ドイツがいずれの味方につくか立場を決めきれないでいる。ドイツはアジアを除く先進国の中で、米中両国と最も深い経済関係を築いており、米中「冷戦」時代を迎えれば、最大の犠牲者となるのはドイツだ。過去20年に米中双方と貿易関係を深めたことで、ドイツは大きな恩恵を受けてきた。安定した経済成長、ほぼ完全雇用にある労働市場、新型コロナウイルス流行を受けた経済対策として1兆ユーロ(約120兆円)をつぎ込めるだけの財政力――これらはすべて米中両国との貿易がもたしたものだ。だが、ドイツが米中いずれにも肩入れすることを拒んでいることで、中国に対して一枚岩で臨むという欧州の包括的な取り組みを弱めており、欧州が新たな世界構造を形成する力を削いでいる。
米中対立で板挟み、「三角関係」に揺れるドイツ
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