安倍政権が信頼を取り戻すには
来年の「内閣総辞職」宣言

 そして、安倍政権に対するさまざまな批判を乗り越える策もある。それは、「来年9月の自民党総裁任期の満了をもって、内閣総辞職する」と首相自ら宣言することだ。国民は、安倍政権が退陣した時、その後継が野党による政権になると思っていない。

「ポスト安倍」は、石破茂元幹事長か、岸田文雄政調会長か、菅義偉官房長官が有力だろう。あるいは第4の候補が出てくるかもしれない。だが、いずれにせよ「自民党政権」が継続すると大多数の国民は淡々と受け止めている。だから、安倍首相自身が退陣する時期をはっきりと決めれば、首相に対する感情的な反発は薄れる。選挙では「ポスト安倍」候補に関心が集まり、安倍政権への批判票は減るだろう。

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 もちろん、退陣の時期を明らかにすると、政権は「死に体」に陥るという懸念はある。だが、小泉純一郎首相が05年の総選挙で大勝した後、「1年後の自民党総裁任期の満了をもって首相を退任する」と宣言しても強い求心力を維持した前例がある。そのときは、安倍官房長官、麻生外相、谷垣禎一財務相(いずれも肩書は当時)らに「ポスト小泉」を競わせることで、それを可能にしたのだ。

 政権のレガシーとなるような政策を打ち上げて、その実現を「ポスト安倍」候補に競わせる。そうしたならば、退陣の時期を表明しても安倍首相は再び求心力を得ることができるのではないだろうか。

 何よりも、数々の権力の私的乱用で失った信頼を取り戻したいならば、「自分は権力に恋々としない。あと1年で内閣総辞職する」と国民に対して宣言するしかない。これ以上権力の私的乱用は行わないということを、究極的な形で国民に示すしかないということだ。

残念ながら野党は
壊滅的敗北を喫する可能性が高い

この連載では、安倍政権を巡って二つのことを徹底的に批判してきた。一つは、お坊ちゃま首相が「身内」と「お友達」を徹底して守る権力の私的乱用を続け、国民の信頼を失っていること。もう一つは、そのお坊ちゃま首相を支えるために、エリート官僚が破棄、隠蔽、偽造などの不正に手を染めなければならなくなる「逆学歴社会」ともいうべき理不尽な状況だ(第233回)。

 もう、国民がまじめに頑張る気力を失ってしまうようなこんな社会は、終わりにしたいものだ。故に、本当は野党に頑張ってもらって、安倍政権を倒してもらいたい。しかし、もし安倍首相が解散総選挙を断行したら、残念ながら野党は壊滅的な敗北を喫する可能性が高い。野党は、非常に厳しい状況にあるということを認識すべきと、強く警告しておきたい。