中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港への統制を強める「香港国家安全維持法案」を可決した。欧米などからは、中国政府が市民の自由抑圧に動いているとの批判が強まっていた。中国国営の新華社通信によると、全会一致で可決された新法は、政府転覆、国家分裂、テロなどの活動、さらに外国勢力との結託を処罰対象とする。公布と同日に施行されるという。法案は異例のスピードと不透明なプロセスで起草・承認され、香港の民主派グループや企業、学校、メディアの間でその影響に対する不安が広がっている。同法の全文は30日中に公表される見通し。翌7月1日は香港の中国返還23周年にあたる。中国政府は5月下旬、国家安全法を制定する計画を明らかにした。香港の野党議員や活動家、欧米などから、新法は市民の自由を抑圧し、中国政府からの自治を侵害する手段に使われるとの批判が上がったが、中国が取り合うことはなかった。