次に、都市部では1世帯当たりの人数が継続して下がっている。4人家族より単身世帯の方が多く、女性の社会進出が進み、DINKS(共働きで子どもを意識的につくらない夫婦)も増えた。東京の世帯人員はすでに2人を切っている。これを背景に職住近接が進む。都心3区(千代田区・中央区・港区)、都心5区(都心3区+新宿区・渋谷区)にオフィスや繁華街が集中し、この近くに住んでいれば仕事もプライベートも充実させることができるからだ。

 最後に、「リア充」(リアルの充実)の1つの形を「我が家」で実現しようと考える人が増えてきたということだ。恋人は相手次第でお付き合いできないかもしれないが、家や趣味はお金で手に入るものだし、いつも変わらない満足を生む。最大の買い物が家であるように、金額としても最高の贅沢という話になる。

今世紀初頭に不動産市場は一変
土地活用だけではない選択肢の充実

 不動産市場は2000年を境に標準が一変した。以前は、賃貸住宅のほとんどすべてが地主の土地活用と節税対策で建てられたものだった。それ以外はUR(都市再生機構)の団地や公営住宅や社宅・寮しかなかった。

 しかし21世紀になって、J-REIT(日本版不動産投資信託)が生まれ、不動産運用ファンドは規模を拡大してきた。こうしたファンドの所有物件は、プロが長期で最適な配当を出すべく運営されている。つまり、コストを適切に抑えながら、家賃の最大化に努めている。

 土地活用時代には、高い品質の賃貸住宅はほとんどなかった。高級にしたところで、それだけの家賃の見返りがあるかわからない場合、地主は建築費が抑えられた提案に乗りやすく、安普請に造るものだ。つい最近でも、複数のハウスメーカーの施工不良物件が大量に発覚した。

 戸境の壁が薄く、エアコンのスイッチで隣りの部屋のエアコンが作動するという噂まで出た。一般的に、分譲と賃貸では建築費が15%ほど違う。持ち家の場合、販売時の資料には、構造の耐震レベルや床や壁の遮音性が数値化されてアピールされるが、賃貸では物件概要1枚と実地内覧しかなく、こうした差を助長することになる。

 高品質で建築コストがかかった物件は、それなりに家賃が取れている。たとえば、分譲されたファミリータイプのマンションは、同タイプの賃貸マンションより家賃がその分高い。これが、最近のファンドに入る物件では顕著になってきた。