コロナ禍で、海外にいる日本人はどう過ごしているのだろうか。アメリカの中でも深刻な事態に陥っているニューヨーク市在住の男性にオンラインで取材。日本とはレベルの違う「恐怖」と、アメリカらしいトップの「リーダーシップ」が伝わってきた。(フリーライター 有井太郎)
毎日約600人が亡くなる
経済再開もとにかく慎重
いまだに猛威を振るう新型コロナウイルス。全世界で影響が出ているが、なかでも甚大な被害を受けたのがニューヨーク州だ。
2020年4月7日~12日の6日間で、ニューヨーク市だけでも毎日およそ600人が亡くなった。ロックダウンにより状況はかなり好転したが、現在までに州全体の感染者数は39万人を超え、死者数も2万4842人となっている(※6月29日15時時点、ニューヨーク州保健局サイト参照)。
筆者の知人であるKさんは、ニューヨークにある研究機関で働いている。彼にコロナ禍をどう過ごしているか聞くと、日本とは異なる「恐怖」を口にした。
「ニューヨーク市は、東京23区ほどの人口規模です。そのエリアで、毎日多くの方が亡くなり、かなりの危機感がありましたし、僕や家族の誰かが亡くなることも意識しました。『もし死ぬなら日本に帰って死にたい』と、本気で考えた時期もありました」
3月22日以降、ニューヨーク州はロックダウンに踏み切り、現在は少しずつ経済活動が解除されている段階だ。Kさんは、ロックダウンという決断が下されたことについて「深刻な状況だったからこそ、その決定を疑問視する声は少ない」と語る。
他の州でも次々にロックダウンが行われたが、被害がまだ少なかった地域では「経済を回せ」という圧力も強かったという。しかし、ニューヨークでは、その議論を挟む余裕もなかった。