ポジティブさは必ずしも良いことではない。不安も正しく評価すべき(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「ポジティブなことは良いが、どうもポジティブすぎる人は仕事ができないような気がする。むしろ心配性の人の方が、ミスが少ないと感じる。一体どうしてだろう?」。そのような疑問を口にする経営者がいる。実は、そこには非常に鋭い洞察が含まれている。意外かもしれないが、その不安のなさが成長の妨げになっているのだ。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

いくら注意しても気にしない、ポジティブすぎる人

 仕事でミスが目立ち、いくら注意しても直らない人物に手を焼いた。そんな経験のある人も多いのではないだろうか。

 注意すると「わかりました」と返事はよいが、こちらの言葉を重く受けとめている様子がみられない。作成を頼んだ文書にミスが多いため、そこを逐一指摘し、もう少し注意して作成するようにアドバイスしても、アッケラカンとした感じで、結局また同じようなミスを繰り返す。

 取引先から書類の不備の多さを指摘され、少し厳しめに注意すると「すみません。これから気をつけます」と口では言うものの、一向に改善されない。もはや、本人を傷つけないような口実を考えて、別の人物に担当を変えるしかない…と悩んだ経験がある人もいるだろう。

 このようにポジティブすぎる人を見ていると、ポジティブであることが必ずしも良いわけではないことに気づくだろう。失敗を気に病む同僚に対して、「お前は気にしすぎなんだよ。オレなんか、まったく気にしないし」と言っている場に居合わせたことがあるが、これでは仕事のやり方が改善されないのも当然だと思い、心の姿勢を変えてもらう必要性を感じたものだ。

不安のなさが仕事の改善の邪魔をする

 ポジティブすぎる人のどこが問題かというと、不安がないため何かにつけて「これでいいだろう」「何とかなる」と物事を楽観する姿勢にある。

 不安がないため、何かミスをして注意を受けても、「大変だ。どうしよう」「これから気をつけよう」と重く受け止めることがなく、軽く受け流してしまう。それが、「気にしない」「振り返らない」といった姿勢につながるのだ。

 書類を作成させても、丹念に見直すというような姿勢もなく、「これでいいだろう」と気軽に提出した結果、ミスが目立つ。プレゼンでも、すぐに資料収集を終えてしまい「何とかなる」とのんびり構えた結果、準備不足で失敗したりする。