患者に名刺を渡して挨拶する、質問によるコミュニケーションを徹底するなど、マニュアルによりスタッフ教育を徹底している歯科医院がある。しかし、マニュアルにない部分が、からきし対応できていない。マニュアルの徹底が能動性の低下を生んでしまっては本末転倒だ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
マニュアルを徹底的に
叩き込んだ歯科医院の問題点
緊急事態宣言下においては、従来のマニュアルが通用せず、加えて、新たにマニュアルを作成する時間と労力もかけられない事態が多くの企業で起こっていた。マニュアルを作成したとしても、一部か骨子のみという状況だ。
コロナ禍では、マニュアルに頼ることなく、能動性を発揮して行動していくことに多くのビジネスパーソンがチャレンジしている。しかし、この能動性発揮が大事だと意識をしていても、実際に行動に移せるかというと難しいこともある。そんな典型例に直面した。
S歯科医院の診察を受けたときのことだ。この医院は、ハーバード大学で学んだ院長が、スタッフ教育を徹底している。歯科衛生士や歯科技工士、歯科医師たちが、患者に対して名刺を差し出し、自己紹介するのだ。
歯科に限らず、これまで多くの医院で治療してもらったが、「医師の○○です」というように名乗るだけの医院もあれば、胸に名札を付けているからだろうか、名乗らない医院もあった。名刺を渡してくれた医院は初めてだ。「責任をもって治療します」ということを行動で表しているように思えて好ましかった。