新型コロナウイルス禍の下、現金決済からキャッシュレス決済への移行が世界的に進んでいる。紙幣や硬貨を通じてのウイルス感染を心配する人々がいるためだ。
パンデミック(世界的大流行)発生直前までは、ドイツは日本以上にキャッシュレス化が進まない国だった。ナチス時代の個人情報悪用のトラウマもあって、ドイツ人はプライバシー問題に非常に敏感だ。キャッシュレスで支払いを行えば、自分の消費行動のデジタルフットプリント(足跡)を誰かに観察される恐れがある。ドイツ人はそれをとても嫌がっていた。
しかし、コロナに対する恐怖がドイツ人の行動を変えた。ある調査によると、消費者のほぼ半数が現金の利用頻度を「劇的に低下させた」と回答している。ATM(現金自動預払機)の利用件数は、ロックダウン(都市封鎖)になった最初の月に57%も減った。