銀行vsコロナ#1
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緊急事態宣言が出て外出自粛ムードが高まる中でも、銀行窓口には要不要を問わず顧客が来店している。「来店する前に、ネットでできる取引かどうか調べてほしい」――。特集『銀行vsコロナ』(全12回)の#1では、現場の銀行員が抱える苦悩の声をお届けする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

店舗の外に20人ほどの列が発生
不要不急の手続きに悩む銀行窓口

 緊急事態宣言に伴う外出自粛真っただ中の5月、メガバンクの都内の店舗前には、平時では見慣れない光景が広がっていた。銀行窓口に訪れた利用者が、店舗の“外”で20人近く列を成しているのだ。

 確かに決算期の月末に混雑したり、昼休みのATMコーナーに行列ができたりすることはある。4~5月は税・公金の納付期限の影響から来店数が増える傾向にあるとはいえ、そうした利用者の長蛇の列が店舗の外にできることはまれだ。店舗前の行列は、1990年代後半に起きた金融不安の際の取り付け騒ぎを連想させるため、銀行のマニュアル的にはご法度だ。無論、今回は信用不安が起きたわけではなく、感染拡大を防ぐ社会的距離を確保するために講じたやむにやまれぬ策である。

 とはいえ、銀行の店舗ではマスクを着用していないからといって来店を断れない場合が多く、感染リスクを完全に断ち切れていない。そんな張り詰めた環境において、冒頭の店舗で勤務する行員は、対応した顧客のうち「半分ほどの手続きは不要不急だと感じた」と打ち明けた。

 コロナ禍により日本全国で飲食店など一部業種に対して営業自粛の要請が出ている中で、銀行は店舗を開け続けている。企業や個人の資金決済が滞らないようにするため、金融庁から業務の継続を求められているからだ。実際、企業や個人に対する資金繰り支援など、仕事量は増えており、休んでいられる状況ではないという。

 そもそも政府が出勤7割削減を要請している中で、全ての店舗インフラを維持するのは簡単ではない。この矛盾を解消しつつ、店舗での“密”を避けるために「交代勤務で人手を大幅に減らしている」(都内のメガバンク行員)が、一部の店舗では、急を要しない手続きを含めて利用者で混雑しているのが現状だ。急を要する業務にどう人手を回すかに、銀行は頭を抱えている。