若かりし頃と変わらぬ熱さ

 実際に他の州や地域に先んじて、リオデジャネイロ州サッカー連盟がタッサ・リオの再開を決めた事態を受けて、日本時間先月17日深夜から翌朝にかけてはさらに怒気が伝わるつぶやきを連投した。

『Are you sure to start the league next week?』(来週からリーグ戦を再開させる気なのでしょうか)

『Am I crazy that I want to know a logical reason why we start the league?』(リーグ戦を再開させる論理的な理由を知りたい、と思っている私は狂っているのでしょうか)

 本田は個人的な思いを先走らせていたわけではない。命の危険にさらされ、実際に感染者だけでなく死亡者数も激増していたブラジル国内では、新型コロナウイルスという未知の敵を前にして、何よりも国民の安心安全を重視するべきではないのか、という世論も強かった。

 例えば文中に“crazy”がつづられたツイートには、動画投稿サイト「YouTube」で人気を博した新星コメディアン、フェリペ・ネトが和訳すれば次のようになるポルトガル語のリプライを送っている。

「いいえ、あなたは狂ってはいません。あなたは狂った犯罪者によって統治された国にいます」

 実はボタフォゴも、フルミネンセとともにタッサ・リオの早期再開に異を唱えるスタンスを取っていた。アウトゥオリ監督はブラジルメディアでリオデジャネイロ州サッカー連盟へ批判的なコメントを展開したとして、現地時間6月28日の再開初戦を前にして、15日間の活動停止処分を科されている。

『I heard that Pauro is suspended for a few weeks. Why? He just said his opinion but I think that he was right. Where is freedom of speech?』(パウロに数週間の活動停止が科されたと聞いた。なぜなのか。彼は自分の意見を言っただけであり、なおかつそれは正しかった。言論の自由はどこへ行った?)

 指揮官に下された異例の処分に英文で抗議した本田は、タッサ・リオのグループリーグ第4節、カボフリエンセ戦からキャプテンを拝命。約3カ月半ぶりとなる公式戦でボランチとして先発フル出場を果たし、6-2で快勝した夜には一転してユニークな英文も投稿している。

『It's tough for me to sleep after game』(試合を終えた後は眠るのが大変だ)

 中断されていた間の6月13日に、本田は34歳になった。再開が決まった以上はアスリートとして目の前の一戦に闘志を高ぶらせ、余韻が残る形で寝つけなくなる若かりし頃と変わらない姿。そして、家族を持つ一人の人間として何よりも命を尊ぶ思い。2つの感情の間で何度も揺れ動いている心境が、一連のツイートから伝わってくる。