1~3月に
ECVが売れた理由

 商品投入も活発だ。ルノーはトゥインゴ、フィアットは500e、プジョーはe208、オペル/ボグソールはeコルサなど、小型乗用車にECVの選択肢が一気に増えた。ただし、販売価格は通常仕様の約2倍であり、e208のスタート価格は約3万ユーロ(約366万円)、フィアット500eのラ・プリマ(限定車)は約3万8000ユーロ(約463万円)と、2クラス上のモデルに匹敵する。

フィアットのピュアEV新型500e
フィアットのピュアEV新型500e 写真のグレードはラ・プリマ(限定モデル) Photo:FIAT

 1~3月にECVが売れた理由を調べると、インターネット上で契約できるEC(Eコマース=電子商取引)対応のテスラが「販売店へ出かけないでも購入できる」という理由で歓迎されたことが挙げられる。また、すでに予算が成立している自治体や企業が導入するECVの納車が始まったことなど、特殊な事情も見られた。販売関係者からは「一般ユーザーの購入はそれほど多くないだろう」というコメントもある。

 とはいえ、スペインでは前年同期比43%増、ドイツは63%増、フランスは150%増、イギリスは200%増、イタリアは350%増という実績であり、商品の充実がECVの販売台数を押し上げるという点は確認された。2018年の新車販売台数に占めるECV比率はドイツ2.0%、フランス2.1%、イギリス2.5%、イタリア0.5%という数字だった。これに比べれば2020年第1四半期は大躍進である。問題は価格だ。同じサイズで装備がより充実しているエンジン車と比べて約2倍というECVの価格は、多くのユーザーにとっては受け入れにくい。

 実際のところ、ECVは「国や自治体がどれくらいの補助金を出してくれるか」が普及のカギになる。これは昨年の中国で補助金が大幅カットされた途端にECVが売れなくなった実態や、EUで最もECVが普及しているノルウェーが輸入税と付加価値税(合計で約30%)を免除し道路税半額、有料道路もフェリーも無料で、ラッシュ時にはバスレーンを走れるという手厚い優遇策を講じてやっとECVが売れるようになった、という事例から明らかだ。

 そこでEU委員会および各国政府は、ポスト・コロナの経済回復策の中でECV優遇策の実施を検討している。フランスのマクロン大統領は、自動車業界に20億ユーロ(約2440億円)を支援し、同時にECV関連の技術開発補助金10億ユーロ(約1220億円)の基金を創設する方針を指示した。また、個人のBEV購入に対して国が支払う補助金を現在の6000ユーロ(約73万円)から7000ユーロ(約85万円)へと引き上げる計画を決めた。