自動車の買い替えで考えた
「なぜEVは選ばれないのか」
ガソリン自動車に代わる電気自動車(EV)ブランドの先駆けと言えるのが日産「リーフ」ですが、このたび世界市場での累計新車販売台数40万台を達成したということです。これは、電気自動車としては世界初の快挙です。
リーフは2010年に市場投入されて以来、常に電気自動車市場を牽引してきました。2011年に日本だけではなく世界でカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、航続距離などの性能も徐々に伸ばしながら、2017年にフルモデルチェンジ。2018年には大容量電池を搭載した「e+」も投入されるなど、その進化についての話題にも事欠きません。
ただ、売れているといっても、2018年の日本での新車登録台数は2万6000台弱。「プリウス」「アクア」のようなハイブリッド車が各々年間12万台規模で売れているのと比べれば、これは控えめな数字です。
何より、新車市場全体の年間290万台から見ればまだ全体の1%程度。ここから本格的に乗用車市場でガソリン車、ハイブリッド車と競争しながら普及していくためには、マーケティング用語で言う「キャズム」(テクノロジー、イノベーションの難しい課題)を乗り越える必要があります。
ではなぜ、イノベーター(キャズム理論で言う革新的な消費者)ではない一般の消費者は、電気自動車を選択しないのでしょうか。
私ごとですが、つい最近、乗用車の買い替えを体験しました。各社のディーラーを巡って色々な車種を検討したのですが、実は私の場合、リーフは初期のスクリーニング段階で購入候補から落としてしまいました。それは、きちんと情報を集めた上での判断でした。
ここに、一般の消費者がこれから電気自動車を選択するにあたっての課題のヒントがあると思います。あくまで私的な切り口ではありますが、その課題について述べたいと思います。