昨年5月時点で、米バイオ医薬品会社ノババックスの株価はたったの36セントだった。株価押し上げとナスダック上場維持に向け、20株を1株にする株式併合を実施したが、それでも2019年はさらに39%値下がりした。創業33年の同社はワクチンを1つも開発できず、手元資金は枯渇し、全体の25%に相当する100人余りを削減せざるを得なかった。昨年12月のホリデーパーティーは、会議室で「ピザとコーラで乾杯」が精一杯だった。ノババックスを一変させたのが新型コロナウイルスだ。そして足元では、同社に大きく賭けた投資家に巨大なリターンをもたらしている。7日の取引で、ノババックスの株価は32%急伸し104.56ドルで終了。年初来では2527%の急騰となっている。連邦政府から新型コロナ予防ワクチン候補の開発・製造に向け、16億ドル(約1700億円)の支援を受けると発表したことで、大きな追い風が吹いた。