外国人材を離職に走らせる「郷に入れば郷に従え」型育成の病理外国人材を活用する上で課題となっているのは、「定着率」だ Photo:PIXTA

外国人留学生を採用する企業が増える中、課題となっているのは「定着率」だ。入社後の早期離職に悩む企業は少なくない。人材の定着に向けて、取り組みの工夫、強化が必要になってきている。(パーソル総合研究所シンクタンク本部上席主任研究員 小林祐児)

 近年、日本にやって来る外国人留学生は増加の一途をたどってきた。文部科学省は、2008年から「留学生30万人計画」を立ち上げて誘致を進め、日本語学校の学生を含めれば、すでに目標の30万人を突破している。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在、外国人留学生の流入はほぼストップしているものの、すでに日本に来ている留学生のうちの多くが、卒業後、日本で就職して働き続けていくことに変わりはない。そして、そうした留学生の入社においてしばしば課題となるのが、入社後の「早期離職」だ。

 パーソル総合研究所が企業を対象に行った調査※注1では、自社の正規雇用の外国人について、「日本人よりも離職率が高い」と答えた企業は21.3%、逆に「日本人よりも低い」と答えた企業は17.7%だった。全体として大きな差はないが、企業規模別に見れば、日本人よりも外国人の方が離職率は高いと答えた割合は、従業員50人未満の企業では15.8%、1000人以上の企業では24.1%と上昇する。筆者の知る限りでも、留学生が入社後定着しない、という課題感を持つ企業は、日本人社員の定着率が高い大企業に多い。
※1:パーソル総合研究所「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」