また、儒教的な教えを自分に課すだけでなく、ネット時代からは相手に儒教的な態度を求める傾向が強まっている。

 特に標的になっているのが政治家やタレントなどの著名人たちだ。「反日が倫理」の韓国では、本人たちが気づかない程度の親日的な言動をしたとか、女性としてちょっと奔放な発言をしたといっただけでも、大バッシングに発展することがある。日本でも女子プロレスラーの木村花さんが自殺した事件があったが、韓国では同じような自殺が頻繁に起きている。

通貨危機が招いた
保守の弱体化

 韓国政治は保守派と革新派が拮抗(きっこう)して成り立っているが、通貨危機以前の韓国は、保守派が力を持っていた。政権を担っている保守派に、革新派が立ち向かっていくという構図があった。もともと労働組合の力が強く、ストライキも頻繁に起こっていた。

 ところが、1997年の通貨危機で、国際通貨基金(IMF)の指導を受けてからは保守派の力が急速に衰えた。IMF指導はいまだに韓国国民からは「恥辱の歴史」として語られることが多い。リストラや労働強化による超ストレス社会になってからは、革新系の影響力が増して革新政党が躍進した。

 1998年には革新系の金大中(キム・デジュン)氏が大統領になり、それを引き継ぐ形で2003年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が大統領になった。この2つの政権が、現在の文在寅政権の土台を作ったと言っていいだろう。

 保守派が強く、それを革新派が攻撃するという構図であれば革新派がストッパーの役割をして「チェック・アンド・バランス」が働くが、革新派が政権に就くと「反日」という手段が使えない保守派は、政権にまともに対抗できない。現在がまさにその状態である。

 文政権下で保守である朴槿恵前大統領が社会的に抹殺されようとしており、文在寅大統領は「司法改革」などでさらに独裁色を強めて、保守派はさらに追い詰められている。

 革新与党に対してストッパーが効かないという現在の状態こそが、政治家の暴走を許す要因になっているのだと考えている。文政権ではいくつもの不祥事が起きているが、処分が曖昧なままやり過ごされることが少なくない。保守派には厳しいが身内にはとことん甘いことが、現政権の特徴だ。