《コレラ隔離 16人に 和歌山市にも飛び火》

《コレラ さらに5000人検査 厚生省は「ヤマ越した」》

《東京にもコレラ保菌者 マニラ帰りの女性病院職員観光旅行》

 これを受けて渡辺美智雄厚生大臣(当時)は、「観光旅行などでコレラなどの伝染病流行地に行くのはなるべく控えてもらいたい」と述べ、運輸大臣に対して流行地への観光募集を業者に自粛させるよう要請した。

 つまり今、日本中で起きている「自粛のお願い」が、43年前も行われていたというわけだ。しかしこの「自粛」も虚しく、コレラ騒ぎはこの後も定期的に発生した。

 今の「自粛のお願い」がパッとしないように、当時の「自粛のお願い」も海外旅行をしたい人たちの動きを完全に抑え込むことはできなかった。結局、翌78年から82年の「観光団コレラ また9人隔離」(読売新聞 1982年5月11日)まで、4年ほどズルズルと「コレラ騒ぎ」は続いたのだ。

日本人を不安のどん底に
突き落とし日本人出国者が激減

 さてそうなると、日本社会がどんなムードになるか想像をしていただきたい。

 国は「コレラみやげ」はよろしくないので海外旅行を自粛せよ、と呼びかけてはいるが、「コレラ騒ぎ」は一向になくらない。ということは、日本の安全を顧みずに、自分の欲望の赴くまま海外旅行に出かけるような自分勝手な観光客が、コレラを広めているからではないのか。そんな考えを持つ人が多くなることは、自明の理だ。

 つまり、1977年からの「コレラみやげ」問題の長期化が、「観光客が感染を拡大する」というコンセンサスを社会に定着させ、「海外旅行」というものに対する日本人のイメージをじわじわと悪化させていった可能性があるのだ。