ソニー前会長の出井伸之氏が率いるクオンタムリープが、大和証券SMBCグループの自己勘定投資部門と組み、投資ファンドを立ち上げた。その戦略の柱の一つは、ある程度の規模を有する企業に対するグロースキャピタル投資だ。本連載のテーマである環境・クリーンテック分野にも大きな影響を与える投資戦略モデルである。そこで今回は出井氏の右腕であり、その共同ファンドを率いる大和クオンタム・キャピタルの水島正社長(クオンタムリープ社副社長)に、ファンドの特徴などを聞いた。

出井伸之氏率いるクオンタムリープが<br />大和証券系と挑む金融危機後の投資モデル
出井伸之・クオンタムリープ代表(写真右)と水島正・クオンタムリープ副社長兼大和クオンタム・キャピタル社長(写真左)

 クオンタムリープとは、量子力学の言葉で、「連続線上にない跳躍」を意味している。2006年に、ソニーを“卒業”した出井伸之氏が、グローバルな視点で日本の競争力に貢献したいと考えて設立した会社の名前だ。

 具体的な活動の一つとして、AIF(アジア・イノベーション・フォーラム)が挙げられる。AIFは、アジア全体を一つのフィールドと捉え、イノベーションを生み出す環境を整え、アジアの次世代を担う新産業の創出につなげることを目的としたフォーラムだ。イノベーションの源泉として、「人材」×「技術」×「資本」にフォーカスしている。2007年、2008年と福岡で開催され、2009年9月には東京で金融危機後のアジアのイノベーションをテーマにフォーラム開催を予定している。

金融×産業の掛け算

 このクオンタムリープが、大和証券SMBCグループの自己勘定投資部門と組んで、本年4月に設立した会社が、「大和クオンタム・キャピタル」だ。

 日本には、優秀な技術はあるものの、リスクマネーの供給が足りないと良く指摘される。また、若いアントレプレナーも、中国、インドや韓国と比べるとかなり(10分の1ぐらい)少ない印象だ。さらに言うと、そういったアントレプレナーを応援するビジネス経験豊かな経営者は、日本に100人いるかいないかといった印象だ。

 ソニー、パナソニックのような日本発のベンチャー企業が、技術を武器に世界市場への進出を果たし、尊敬されるブランドを確立したことは、日本でビジネスを行う起業家であれば、皆、誰しもが勇気付けられるストーリーだ。

 今回は、大和クオンタム・キャピタル株式会社の水島正社長(クオンタムリープ社副社長)にお話を聞いた。