日曜日の朝の経済番組をみていたら、司会者が「排出権取引とサブプライムローンは一緒で、そんなものはインチキだ!」と、大真面目に民主党のスポークスパーソンに迫っていた。
実は、筆者も商談の場で、ジョークとして、「カーボンオフセットとサブプライムローンって、どう違うんですか?」という話を聞いて、大笑いしたものだ。これだけ全く違う2つのものを、一緒にするところに面白さがある。ところが、冒頭のやりとりは大真面目で番組の視聴者や、政策形成の現場に、排出量の取引自体が「間違い」のような空気が醸成されるのでは、笑ってばかりも居られない。
前回の連載で、2020年までに温暖化ガスを25%削減(1990年比)するという、民主党のマニフェストを取り上げた。文面だけ読むと、アメリカや中国の参加については、触れられていないが、当然の前提と読めるであろう。日本だけで数値目標を掲げても、大きな意味は無いのである。
さらに、民主党マニフェストの各論を読むと、「1次エネルギーの供給量に占める再生可能エネルギーの割合を、2020年までに10%程度の水準にまで引き上げる」とある。
環境省が、本年2月に発表した『低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策について』でも、「2020年で現状の約2倍となる導入目標を掲げることが可能(年間一次エネルギー供給量の約10~11%【大規模水力を除くと約6~7%】、年間発電電力量の約16~18%【同9~10%】)」と提言されている。
また、麻生前総理の、6月10日の総理大臣記者会見の中では、①エネルギー効率を33%改善にすること、また②新エネルギーについては、「水力発電などの再生可能エネルギーの導入量を(EU 方式を踏まえ、最終エネルギー消費に対する比率として、2020年ころまでに)世界最高水準の20%にまで引き上げる」と言及されている。
これらは、数字の定義の仕方もまちまちであり、また、11年先のことでもあり、いまのところ試算モデルである。政府部門からの数値目標の提言を通じて、今後、様々なプレイヤーからのインプットが期待されるところであろう。