スウェーデンの通信機器大手エリクソンにとって、中国同業の華為技術(ファーウェイ)を排除しようとする米政府の取り組みがゆくゆくは追い風になりそうだ。だが、その風はまだ吹いていない。エリクソンはよりによって中国での次世代移動通信規格「5G」対応機器の販売に頼らざるを得ない状況だ。4-6月期(第2四半期)決算発表を受け、エリクソン株は17日の株式市場で13%急伸した。だが、株高は好業績というよりも、事前予想が控え目だったためだろう。為替変動の影響を除いたベースで売上高は横ばいだった。粗利益率は前年同期より若干改善した。携帯電話サービス中継塔向けの通信機器を販売するエリクソンの主力ネットワーク事業は、2016年の危機から安定回復を遂げている。同年にエリクソンは最高経営責任者(CEO)を更迭し、業績見通しを大幅に下方修正した。ただ待望の5G投資による大もうけはまだ実現していない。ファーウェイの世界進出反転という「地政学的な配当」もまだだ。