マイクロソフトPhoto:VCG/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 マイクロソフトは自社製品としてここ数年で最も注目されるソフトウエアを無償で提供している。それにはそれなりの理由がある。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で多くのオフィス労働者が3月以降、在宅勤務を続けており、これがマイクロソフトの「チームズ」に新たな追い風となっている。チームズは、スラックやドロップボックス、ズームなどのサービスと競合する共同作業ツールをまとめたパッケージだ。

 チームズの利用はロックダウン(都市封鎖)開始以来、爆発的に増えている。調査会社コムスコアのデータを引用したゴールドマン・サックスの最近のリポートによると、チームズの5月のユニーク訪問者数は前年同月比943%増となった。マイクロソフトは4月に開いた直近の決算電話会見で、チームズのデーリー・アクティブ・ユーザー数が7500万人と、そのわずか3カ月前のユーザー数の3倍以上に達したことを明らかにした。

 22日午後に予定されているマイクロソフトの4-6月期(第4四半期)決算電話会見でも、チームズに同様のスポットライトが当てられるはずだ。しかし、チームズの事業への貢献は必ずしも分かりやすいものではない。チームズはおおむね「オフィス365」に組み込まれ、無料で提供されているため、単体では利益をほぼ生み出していない。それよりも、マイクロソフトのより大きな業務ソフトウエアパッケージの価値を補強するのに役立っている。また、同社のクラウドサービス「アジュール」の一段の利用も後押ししている。スラックとズームは、マイクロソフトの好敵手であるアマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」経由で主に利用されている。