西欧諸国が今春、新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)を段階的に解除し始めた頃、感染者は再び急増するだろうとの予想が一般的だった。あれから数カ月、欧州の人々はバーやレストラン、混み合ったビーチに出かけているものの、そうした事態は起きていない。米国では多くの州が感染者急増で再び制限を課す方向だ。これに対し、再開後の欧州はおおむね計画通りに進んでいる。その大きな理由は、政策担当者が一般市民に対してシンプルな3つの原則を守るように働きかけた結果、欧州の大半の地域で社会的行動が著しく変化したことにある。3つの原則とは、できる限り距離を確保する、衛生管理を強化する、そして必要な場合はマスクを着けることだ。リスクの大きい高齢者は特に注意深く行動している。